生理周期と性欲の関係|排卵期に高まりやすい理由と周期別の過ごし方

生理周期で気分の波が変わるのは普通 排卵期の波と自分のリズムの見つけ方

「排卵日のあたりになると、なんだかしたい気分になる」「生理前は、触れられるのも少しおっくう」。月の中で性欲や感じ方が変わることに気づいて、「これって私だけ?」と思ったことはないでしょうか。

実はこうした波は、海外の研究でくり返し報告されています。平均すると、排卵が近づく時期に性欲が高まり、排卵のあとは落ち着く傾向があります。

この記事でわかること

  • 生理周期と性欲の関係について、研究でわかっていること
  • 生理中・排卵期・生理前など、周期ごとの過ごし方のヒント
  • ピルを飲んでいる場合の違いと、避妊・受診について気をつけたいこと

パートナーに誘われても気分になれない日の伝え方は「誘われても気分になれない日がある。性欲の波と上手につきあうヒント」で紹介しています。この記事では、生理周期と性欲の関係をデータから見ていきます。

生理周期で性欲は変わる?研究データで見る

排卵の約3日前から、したい気持ちが強まりやすい

シカゴ大学のチームは、排卵の直前に起こる黄体形成ホルモンの急上昇(LHサージ)を体を傷つけない方法で特定し、女性たちの毎日の記録と照らし合わせました。その結果、LHサージの3日前から約6日間は、女性が自分から始める性的な行動が増え、性欲や性的な空想も強まっていたと報告しています(Bullivant et al., 2004)。

興味深いのは、パートナーから誘われた回数には変化がなかったことです。また、パートナーがいない女性でも、したい気持ちの高まりは同じ程度に見られました。

1,054人・約2.6万日分の日記でも確認

小規模な研究が多いこの分野で、ドイツのチームは仮説と分析方法をあらかじめ登録したうえで、女性1,054人から約2万6,000日分のオンライン日記を集めました。ピルなど排卵が起こらないホルモン避妊薬の使用者と、自然な周期の女性429人を比べたところ、排卵が近い時期にはパートナーへの性欲が高まっていました(Arslan et al., 2018)。

同じグループが女性390人を40日間追った2024年の研究でも、排卵期には性欲と自分から誘う行動が増え、ホルモン避妊薬を使う女性ではその変化が小さいという結果でした(Schleifenbaum et al., 2024)。

エストロゲンとプロゲステロンが関わっている

唾液でホルモンを毎日測ったアメリカの研究では、エストラジオール(エストロゲンの一種)が多い日ほど性欲が高く、プロゲステロンが多い日ほど低い傾向がありました。周期の中ほどをピークに、排卵後の時期には性欲が下がりやすいことも示されています(Roney & Simmons, 2013)。

生理周期と性欲の関係について研究でわかっていることと、自分のリズムを見つける4つのポイントをまとめた図解

周期ごとの過ごし方のヒント

研究は多くの人の平均を見たものです。波をはっきり感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいるので、目安として参考にしてください。

  • 生理中:研究で一定の傾向ははっきりしていません。腹痛やだるさがあるなら、無理をせず体を休めることを優先しましょう。
  • 生理後〜排卵前:性欲が少しずつ高まりやすい時期。新しいアイテムを試したり、ふたりの時間を予定したりするのに向いているかもしれません。
  • 排卵期:平均では、したい気持ちがもっとも強まりやすい時期です。ただし妊娠しやすい時期でもあるので、避妊はいつも以上に意識して。
  • 排卵後〜生理前:気分が落ち着きやすい時期。うるおいが足りないと感じる日は、ゆっくり時間をかけたり、潤滑ゼリーで補ったりしましょう。

なお、イタリアで女性20人を調べた小規模な研究では、オキシトシンというホルモンが排卵後の時期に低く、そのレベルがうるおいの感じ方と関連していました(Salonia et al., 2005)。生理前に濡れにくいと感じても、気持ちの問題とは限りません。濡れにくさの原因については「セックスで濡れないのはなぜ?女性に多い原因と無理をしない対処法」でもまとめています。

自分の性欲のリズムをつかむ方法

  1. 生理管理アプリに、気分を一言メモする。「今日の性欲 0〜3」「心地よかったか」を2〜3か月記録すると、自分なりの波が見えてきます。
  2. 乗らない日に結論を出さない。「最近ずっと気分にならない」と感じても、周期のどこにいるかで見え方は変わります。
  3. パートナーと周期のことを共有する。「今週は気分が乗りにくい時期」と伝えておくと、お互いに気をつかいすぎずにすみます。

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ピル使用中の違いと、気をつけたいこと

低用量ピルなどのホルモン避妊薬を使っていると排卵が起こらないため、上で紹介した研究でも、周期による性欲の変化は小さい傾向がありました。ピルを飲んでいて波を感じにくいのは、不自然なことではありません。

また、性欲の高まりから排卵日を予測して避妊に使うことはできません。排卵の時期は月によってずれることがあるためです。生理前の気分の落ち込みやイライラで生活に支障がある、周期が大きく乱れる、性交時に痛みがあるといった場合は、婦人科に相談してみてください。

よくある質問

Q. 生理前にムラムラするのはおかしいですか?

A. おかしくありません。研究では平均すると排卵期に高まる傾向がありますが、波の出方には個人差があり、研究者も個人差の大きさを今後の課題に挙げています。生理前や生理中に気分が高まると感じる人もいます。

Q. 排卵期なのに性欲がわきません。

A. 睡眠不足やストレス、疲れ、ふたりの関係なども気分に影響します。周期だけで決まるものではないので、あまり気にしすぎなくて大丈夫です。長く続いてつらいときは、婦人科などで相談できます。

Q. ピルをやめたら性欲は変わりますか?

A. 自然な周期に戻ると、周期による波を感じやすくなる可能性はあります。ただし変化には個人差があります。ピルの使用・中止は自己判断せず、処方を受けている医師に相談しましょう。

まとめ

生理周期によって性欲が変わるのは、多くの研究で報告されている自然なことです。平均すると、排卵の少し前に高まり、排卵後は落ち着く傾向があります。ただ、その波の大きさは人によって違います。

気分の乗らない日を責めるより、自分のリズムを知って、心地よく過ごせるタイミングを大切にしていきましょう。

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参考資料

  • Bullivant SB, Sellergren SA, Stern K, et al. “Women’s sexual experience during the menstrual cycle: identification of the sexual phase by noninvasive measurement of luteinizing hormone.” Journal of Sex Research, 41(1), 82–93, 2004.
  • Arslan RC, Schilling KM, Gerlach TM, Penke L. “Using 26,000 diary entries to show ovulatory changes in sexual desire and behavior.” Journal of Personality and Social Psychology, 121(2), 410–431, 2021(オンライン公開 2018年).
  • Schleifenbaum L, Stern J, Driebe JC, et al. “Ovulatory cycle shifts in human motivational prioritisation of sex and food.” Hormones and Behavior, 162, 105542, 2024.
  • Roney JR, Simmons ZL. “Hormonal predictors of sexual motivation in natural menstrual cycles.” Hormones and Behavior, 63(4), 636–645, 2013.
  • Salonia A, Nappi RE, Pontillo M, et al. “Menstrual cycle-related changes in plasma oxytocin are relevant to normal sexual function in healthy women.” Hormones and Behavior, 47(2), 164–169, 2005.