「今日はそんな気分じゃない。でも、断ったら彼が傷つくかも」。好きな相手だからこそ、誘いを断るのは気をつかうものです。断ったあとの気まずい沈黙が嫌で、つい応じてしまう人もいるかもしれません。
海外のカップル研究からは、断ること自体よりも、その伝え方のほうが、ふたりの満足度と深く関わっていることが見えてきています。断ることは悪いことではありません。少しの工夫で、気持ちを残したまま「今日はしない」を伝えられます。
この記事でわかること
- 誘いの断り方とふたりの満足度について、研究でわかっていること
- 相手が安心しやすい断り方と、そのまま使える言い方の例
- 避けたい断り方と、断ることが続くときの考え方・相談先
気分になれない日がある理由そのものは「誘われても気分になれない日がある。性欲の波と上手につきあうヒント」で紹介しています。この記事では、断るときの伝え方に絞ってお話しします。
断り方で満足度が変わる?カップル研究のデータ
断り方は4つのタイプに分けられる
カナダ・トロント大学などの研究チームは、長く付き合っているカップルが誘いを断るときの行動を調べ、次の4タイプに整理しました(Kim et al., 2020)。
- 安心させる断り方:今も好き・魅力を感じていると伝えたり、抱きしめるなど別の触れ合いを申し出たりする
- とげのある断り方:誘い方や関係への不満をぶつける、口をきかなくなる
- 率直な断り方:飾らずにはっきり「しない」と言う
- 受け流す断り方:誘われていることに気づかないふりをする
98組・28日間の記録で見えたこと
同じ研究の中で、2年以上同居しているカナダのカップル98組が、4週間にわたり毎晩アンケートに回答しました。その結果、パートナーから安心させる断り方をされた日は、断られた側の関係への満足度も性生活への満足度も高めでした。反対に、とげのある断り方をされた日は、関係への満足度が下がっていました。
研究者は、その差を生んでいたのは「相手が自分を理解し、大切にしてくれている」という実感だったと分析しています。率直な断り方や受け流す断り方については、はっきりした関連は見られませんでした。

断れずに応じるのは、関係のためになる?
「断るくらいなら、我慢して応じたほうが丸く収まる」と考える人もいるでしょう。ところが、相手をがっかりさせないため、もめごとを避けるためといった理由でのセックスは、自分とパートナー両方の満足度の低さと結びついていました。長く付き合うカップルを追った調査では、4か月後の関係の質にも影響が出ています(Muise et al., 2013)。
別の研究では、多くの人が「しぶしぶ応じてもらう」より「やさしく断ってもらう」ほうがよいと答えました。一方、日々の記録では、気が進まなくても応じた日のほうが性的な満足度が高い面もあり、研究者は単純に結論づけていません。ただ、交際期間が長いカップルや回数が少ないカップルでは、我慢して応じることが関係の質を下げやすい傾向がありました(Kim et al., 2018)。
また、87組のカップルの30日間の記録では、しなかった理由として、女性は男性よりも「自分の気分が乗らなかった」を挙げることが多くありました(Mark et al., 2020)。気分にならない夜があるのは、特別なことではありません。
相手を傷つけにくい断り方と言い方の例
- まず好意を伝える。「誘ってくれるのはうれしいよ」「あなたが嫌なんじゃないの」。最初のひとことで、断りが拒絶として届くのを防げます。
- 理由はひとことで。「今日は仕事でくたくたで」「お腹が重くて」。説明を重ねすぎなくて大丈夫です。
- したい範囲の触れ合いを申し出る。「ぎゅっとして寝たいな」「マッサージならできるよ」。自分が本当に心地よいと思えるものだけで十分です。
- その気があれば次を約束する。「土曜の夜はゆっくりしよう」。無理に約束する必要はなく、そう思えるときだけで構いません。
避けたいのは、誘い方をけなす、ため息や無言で返す、何日も気づかないふりを続けるといった対応です。相手にとっては、断られたこと以上に「大切にされていない」と感じる原因になりやすくなります。
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断ることが続くとき、ひとりで抱えないで
断られる回数が多いと感じている人ほど、満足度が低い傾向も報告されています。とはいえ、断る側が悪いという話ではありません。疲れ、痛み、気持ちのすれ違いなど、背景にある理由をふたりで話せると、関係を立て直すきっかけになります。
性交時の痛みがある、性欲がわかない状態が長く続いてつらいときは、婦人科で相談できます。ふたりだけで話すのが難しいときは、カップルカウンセリングを利用する方法もあります。
そして、断ったことを責められたり、不機嫌な態度で押し切られたりするのは、健全な関係とはいえません。したくないときに「しない」と言うのは、誰にとっても当たり前の権利です。
よくある質問
Q. 断り続けていたら、セックスレスになりませんか?
A. 回数だけで関係の良し悪しは決まりません。大切なのは、断ったあとも気持ちが伝わっているかどうかです。断る理由が続いているなら、疲れや痛み、ふたりの時間の取り方など、元になっていることを話し合ってみましょう。
Q. 断られた側は、どう受け止めればいいですか?
A. 断られたのは「今日のタイミング」であって、あなた自身ではないことがほとんどです。責めたり問い詰めたりせず、「わかった、また今度ね」と返すだけで、相手も安心して本音を話しやすくなります。
Q. 理由を正直に言いづらいときは?
A. すべてを説明する必要はありません。「今日はゆっくり休みたい」だけでも十分です。ただ、痛みや不安など続いている理由があるときは、落ち着いた時間に少しずつ共有できると、ふたりで対策を考えやすくなります。
まとめ
誘いを断る夜は、どんなカップルにもあります。研究からわかるのは、断ったかどうかより、「あなたを大切に思っている」が伝わる断り方かどうかが、ふたりの満足度に関わっているということです。研究は北米のカップルが中心で、すべての人に当てはまるとは限りませんが、断ることに罪悪感を持ちすぎなくていい理由になるはずです。
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参考資料
- Kim JJ, Muise A, Sakaluk JK, Rosen NO, Impett EA. “When Tonight Is Not the Night: Sexual Rejection Behaviors and Satisfaction in Romantic Relationships.” Personality and Social Psychology Bulletin, 46(10), 1476–1490, 2020.
- Kim JJ, Muise A, Impett EA. “The relationship implications of rejecting a partner for sex kindly versus having sex reluctantly.” Journal of Social and Personal Relationships, 35(4), 485–508, 2018.
- Muise A, Impett EA, Desmarais S. “Getting it on versus getting it over with: sexual motivation, desire, and satisfaction in intimate bonds.” Personality and Social Psychology Bulletin, 39(10), 1320–1332, 2013.
- Mark KP, Vowels LM, Leistner CE. “Not Tonight, Honey: Reasons Couples Do Not Engage in Sex and Their Impact on Satisfaction and Desire.” Journal of Sexual Medicine, 17(3), 431–441, 2020.









