ガルドネラ菌が原因の病気?

ガルドネラ菌(膣ガルドネラ)とは

ガルドネラ菌(Gardnerella vaginalis)は、膣内に存在する常在菌の一つですが、いわゆる「善玉菌」ではありません。乳酸菌やデーデルライン桿菌のように膣内環境を健康に保つ働きはなく、むしろ膣内のバランスが崩れたときに悪影響を及ぼす「悪玉菌」とされています。

膣内フローラが乱れる主な要因

膣内の菌バランス(膣内フローラ)はとても繊細で、さまざまな要因によって乱れやすくなります。以下は代表的な原因です:

  • 抗生物質の服用:肺炎や中耳炎などの治療に使用される抗生剤は、膣内の善玉菌まで一時的に死滅させてしまうことがあります。これは、腸内環境が抗生物質で乱れるのと同じ仕組みです。乳酸菌やデーデルライン桿菌が減ると、膣内は酸性を保てなくなり、中性~アルカリ性に傾き、ガルドネラ菌が増殖しやすくなります。
  • 過度なストレスや疲労:身体の免疫力が低下すると、外部からの雑菌に対する防御機能も弱まり、悪玉菌の繁殖が進みやすくなります。
  • 膣内洗浄:膣洗浄は悪玉菌だけでなく、善玉菌まで洗い流してしまうため、かえって膣内環境が悪化します。おりものや臭いが気になっても、自己判断での洗浄は控えることが大切です。
  • 頻繁な性行為や異物の挿入:清潔を心がけていても、性交渉や器具の使用によって雑菌が持ち込まれたり、潤滑ジェルなどがpHバランスを乱すことがあります。過度な頻度や長時間の接触は膣の粘膜に負担をかけ、常在菌のバランスを崩す原因になります。

ガルドネラ菌が増えたときに見られる症状

ガルドネラ菌が増殖すると、以下のような症状が現れやすくなります:

  • 魚のような強いにおいのあるおりもの
  • 膿のような分泌物
  • おりものの量の増加

これらが明確に現れ、腟の炎症も確認されると、「細菌性膣症」と診断されます。

細菌性膣症とは

細菌性膣症は、性感染症ではなく、「膣内の菌バランスの乱れ」によって起こる状態です。病気というよりは、身体の状態の一部と考えられ、原因菌であるガルドネラ菌の増殖を抑え、膣内環境を整えることで改善します。

この症状で最も特徴的なのが「魚が腐ったようなにおい(魚臭帯下)」です。「イカ臭い」「ザリガニのようなにおい」と表現されることもあります。このにおいが誤解を生むこともあり、性感染症と勘違いされたり、強い体臭と誤認されたりするケースもあります。欧米の研究者の中には「男が黙って去る病気」と表現する人もいたほどです。

さらに、妊娠中に細菌性膣症を発症すると、早産や胎児への感染(肺炎、髄膜炎、菌血症など)のリスクが高まるため、積極的な治療が必要です。

細菌性膣症になった場合の対応

症状が軽度であれば、生活習慣や体調を整えることによって自然と改善されることもあります。特に、生理終了後は膣内がリセットされやすいタイミングで、膣の自己浄化作用が活発になります。この時期を意識して身体を労ることが、回復の助けになるでしょう。

膣内フローラ改善のためにできること:

  • 睡眠と休養をしっかり取る
  • ストレスを減らす
  • 発酵食品(納豆、ヨーグルト、ぬか漬けなど)を積極的に摂る
  • 糖質の摂りすぎを控える(悪玉菌のエサになるため)

腸内フローラと膣内フローラは密接に関係しているため、腸に良い食生活は膣にも良い影響を与えます。また、市販の乳酸菌サプリメントを使用する際は、医師の指導に従いましょう。膣に直接入れるといった誤った使い方は避けるべきです。

膣内フローラのバランスを崩さないよう、日々の体調管理とセルフケアを大切にしながら、もし不調が続く場合は専門の医師に相談することをおすすめします。ガルドネラ菌による細菌性膣症は、適切な対応で十分に改善が期待できる状態です。焦らず、継続的にケアを続けましょう。

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