セックスのマインドフルネスとは|性欲や感じにくさとの関係と自宅でできる練習

からだとマインドフルネス 研究でわかった感じ方とひとりで始める3つの練習

「前ほど、したい気持ちがわかない」「触れられているのに、頭の中では明日の予定を考えている」。年齢やパートナーとの関係に関係なく、こうした悩みを抱える女性は少なくありません。

海外では、こうした悩みに対して「マインドフルネス」を取り入れる方法が、10年以上にわたって臨床研究で確かめられてきました。性欲をむりに高めるのではなく、頭の中の採点をいったん止めて、体の感覚に注意を向け直すという考え方です。

この記事でわかること

  • 性の悩みとマインドフルネスが結びつく理由
  • カナダの臨床研究で報告された数字と、その限界
  • 自宅でひとりで始められる3つの練習と、相談の目安

マインドフルネスとは「評価しないで、いまに気づく」こと

マインドフルネスは、いま起きていることに、良い・悪いの判断をつけずに注意を向ける心の使い方です。

性の場面では、「ちゃんと濡れているかな」「イけなかったらどうしよう」「体型を見られていないかな」といった考えが、感覚よりも先に立ちやすくなります。注意が評価に向いているあいだは、触れられている感触に気づきにくくなってしまいます。考えが浮かぶのは自然なことなので、それを消すのではなく、気づいたら感覚へ戻る。この往復を練習するのが、性のマインドフルネスです。

パートナーと「触れるだけ」の時間をつくり、評価から離れる練習としては、海外のセックスセラピーで使われてきた「センセート・フォーカス」もあります。

海外の臨床研究で報告されていること

この分野の研究を続けてきたのが、カナダのブリティッシュコロンビア大学のロリ・ブロット博士らのチームです。

2014年:4回のグループで性欲や満足度の評価が向上

性欲や興奮の低さを理由に受診した女性117人が対象です。90分のグループセッションを4回行い、瞑想、考え方のくせを見直す認知療法、性の知識を学ぶ時間を組み合わせました。開始を3か月遅らせたグループと比べると、性欲、興奮、うるおい、性の満足度の自己評価が上がっていました(Brotto & Basson, 2014)。

2016年:「感じている」と「体の反応」がそろいやすく

79人を対象に、プログラムの前後で実験室での測定を行った研究です。終了後は、本人が感じる興奮の度合いと体の反応との一致が高まっていました(Brotto et al., 2016)。

2021年:8週間のプログラムを比べた試験

148人を2つのグループに分け、マインドフルネスを中心にした8回のプログラムと、性の教育とサポートを中心にしたプログラムを比べました。どちらのグループでも性欲と興奮の評価が大きく上がり、12か月後まで続いていました。性に関する苦痛や、同じことを考え込んでしまう状態は、マインドフルネスのグループでより軽くなっていました(Brotto et al., 2021)。

2025年:自宅で取り組めるオンライン版

8つの単元からなるオンラインプログラムを、待機したグループと比べた試験も発表されています。オンラインでも、性欲・興奮・満足度の評価が上がったと報告されています(Mahar et al., 2025)。

研究を読むときの注意点

  • 対象は、悩みを抱えて自分から参加した女性で、専門家がついたプログラムです
  • 45の研究をまとめた2026年の分析では、性に関する苦痛を減らす点でマインドフルネスが上位でしたが、研究の数はまだ少ないとされています(Qiangzhao et al., 2026)
  • 2019年のレビューでは、性交時の痛みについてははっきりした変化が見られていません(Jaderek & Lew-Starowicz, 2019)
カナダの研究でわかったことと、ひとりで始める3つの練習をまとめた図解

読んだだけで変わるものではなく、合う・合わないもあります。下の練習は、研究で使われたプログラムを再現したものではなく、考え方を暮らしに取り入れるための編集部の提案です。

自宅でひとりでできる3つの練習

練習1:寝る前の5分間、呼吸を数える

吸って吐いて「1」、また吸って吐いて「2」と10まで数えます。途中で別のことを考えていたら、責めずに「1」からやり直します。性とは関係のない時間に、気づいて戻る力を育てる練習です。

練習2:保湿の時間に、肌の感覚を言葉にする

お風呂上がりにボディクリームやデリケートゾーン用のローションを塗るとき、「温かい」「すべすべ」「ひんやり」と感覚を心の中で言葉にします。「太い」「くすんでいる」など見た目の評価が浮かんだら、それに気づいて手の感触に戻ります。

練習3:セルフプレジャーを「観察の時間」にする

オーガズムを目標にせず、どこに、どんな感じがあるかを確かめる時間にしてみます。刺激が強すぎると感覚を味わう余裕がなくなるので、弱い強さから選べるアイテムや、摩擦をやわらげる潤滑ゼリーを用意しておくと落ち着いて試せます。

練習に合わせて選びたいアイテム

弱い刺激から試せる:Womawave CuteCurve(キュートカーブ)

Womawave CuteCurve(キュートカーブ)

手になじむカーブ形の吸引タイプで、強さを段階的に選べます。いちばん弱い設定から、感覚を確かめるように使いたい方に向いています。

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こすれる刺激をやわらげる:L’UNA JELLY(ルナジェリー)

無添加・日本製の潤滑ゼリー L'UNA JELLY(ルナジェリー)

日本製の水溶性潤滑ゼリーで、無味無臭です。指でもアイテムでも、摩擦が気になると感覚に集中しにくくなるので、少量から使ってみてください。

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タイプ別に比べたい方は、はじめてのアイテム選びガイドもどうぞ。

よくある質問

Q. 瞑想が苦手でも取り組めますか?

A. はい。長く座る必要はなく、呼吸を数える数分や、保湿のついでに感覚を確かめるだけでも練習になります。途中で考えごとをしてしまっても失敗ではなく、気づけたこと自体が練習の一部です。

Q. パートナーと一緒にやってもいいですか?

A. かまいません。最初はひとりで「気づいて戻る」感覚に慣れておくと、ふたりのときにも取り入れやすくなります。

Q. どんなときに専門家へ相談したほうがいいですか?

A. 性欲の低下で毎日がつらい、急に変化した、痛みが続くといったときは、婦人科や性の悩みを扱うカウンセラーへの相談をおすすめします。体調や服用中の薬が関係していることもあります。練習中に昔のつらい記憶がよみがえって苦しくなった場合も、無理に続けずに相談してください。

まとめ

性のマインドフルネスは、気持ちを奮い立たせる方法ではなく、評価をいったん脇に置いて感覚に気づき直す練習です。カナダの研究では性欲や満足度の評価の向上が報告されていますが、研究の数はまだ限られています。まずは寝る前の5分から、自分のペースで試してみてください。

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参考資料

  • Brotto LA, Basson R. “Group mindfulness-based therapy significantly improves sexual desire in women.” Behaviour Research and Therapy, 57, 43–54, 2014.
  • Brotto LA, et al. “Mindfulness-based sex therapy improves genital-subjective arousal concordance in women with sexual desire/arousal difficulties.” Archives of Sexual Behavior, 45(8), 1907–1921, 2016.
  • Brotto LA, et al. “A randomized trial comparing group mindfulness-based cognitive therapy with group supportive sex education and therapy for the treatment of female sexual interest/arousal disorder.” Journal of Consulting and Clinical Psychology, 89(7), 626–639, 2021.
  • Mahar EA, Stephenson KR, Brotto LA. “A randomized controlled trial of online mindfulness and cognitive-behavioral interventions for sexual interest/arousal disorder in women: eSense.” Behaviour Research and Therapy, 188, 104732, 2025.
  • Jaderek I, Lew-Starowicz M. “A systematic review on mindfulness meditation-based interventions for sexual dysfunctions.” The Journal of Sexual Medicine, 16(10), 1581–1596, 2019.
  • Qiangzhao L, et al. “Psychological therapies for female sexual function: a systematic review and network meta-analysis.” The Journal of Sexual Medicine, 23(3), qdag040, 2026.