「彼の家に泊まると、なぜか朝まで熟睡できない」。せっかくのお泊まりなのに、寝不足のまま翌日のデートを迎えてしまう……という声は意外と多いものです。
いつもと違う場所で眠りが浅くなるのは、睡眠研究で「第一夜効果(ファーストナイト・エフェクト)」と呼ばれるよく知られた現象です。相手との相性や気持ちの問題ではなく、脳が慣れない環境を警戒しているために起こると考えられています。
この記事でわかること
- お泊まりの夜に眠りが浅くなる「第一夜効果」のしくみ
- パートナーと同じベッドで眠ると睡眠はどう変わるのか
- 彼の家でも休みやすくするための準備5つと、相談したいサイン
お泊まりで眠れないのは「第一夜効果」かもしれません
睡眠の検査では昔から、初めて実験室に泊まった夜は寝つきが悪く、途中で目が覚めやすいことが知られていました。旅行先のホテルや実家、そして恋人の部屋で眠れないのも、同じしくみで説明できる可能性があります。
左脳の一部が浅く眠り、まわりを見張っていた(アメリカ・2016年)
ブラウン大学の研究チームは、のべ35人の若い成人に、およそ1週間の間隔をあけて2回、実験室で眠ってもらい、脳の活動を測定しました(Tamaki et al., 2016)。
初日の夜は、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の最中でも、左脳の一部のネットワークが右脳より浅い眠りにとどまっていました。この左右の差が大きい人ほど、眠りにつくまで時間がかかっていたといいます。さらに、ふだん聞かない音を鳴らしたところ、初日は左脳の反応が強く、音で目を覚ますまでの時間も短くなっていました。
研究チームはこれを、知らない場所で危険があったときにすぐ動けるよう、脳の片側が見張り役を引き受けている状態だと説明しています。
2回目の夜には左右の差がなくなっていた
同じ人が2回目に眠ったときには、こうした左右の差は見られませんでした。眠りの浅さは「場所に慣れていない」ことへの一時的な反応で、同じ部屋で過ごす回数が増えるほど落ち着いていく可能性があります。初めてのお泊まりで眠れなかったとしても、心配しすぎなくて大丈夫です。
パートナーと一緒に寝ると睡眠はどう変わる?
「隣に人がいるから眠れないのでは」と考える人もいるかもしれません。ドイツで行われた研究では、若く健康なカップル12組が睡眠実験室で4晩を過ごし、ひとりで寝た夜とふたりで寝た夜の睡眠を比べています(Drews et al., 2020)。
その結果、ふたりで寝た夜はレム睡眠(夢をよく見る眠り)が約10%多く、途中で途切れにくい傾向がありました。その一方で、寝ている間の手足の動きは増えていました。参加者が少なく、若いカップルに限った研究なので、すべての人に当てはまるわけではありません。ただ、誰かの隣で眠ることがいつもマイナスになるとは限らない、というひとつの手がかりになります。
なお、彼のいびきが大きい・呼吸が止まっているように見えるときは、睡眠時無呼吸の可能性もあります。くわしくは「いびきとEDの関係」の記事で紹介しています。

彼の家でも眠りやすくする準備5つ
以下は、研究結果や厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をふまえた、モアコスメ編集部からの提案です。効果を保証するものではありませんが、試しやすいものから取り入れてみてください。
- 自宅と同じものを持ち込む:着慣れたルームウェア、いつもの枕カバー、寝る前のスキンケア。なじみのあるものがひとつあるだけで、慣れない部屋が少し落ち着く場所になります
- 耳栓をポーチに入れておく:初めての場所では聞き慣れない物音に反応しやすくなります
- 照明を落とし、ベッドでスマホを見ない:睡眠ガイドでも、寝室を暗くすることと、寝床でデジタル機器を使わないことがすすめられています
- コーヒーや緑茶は昼のうちに:夕方以降のカフェインは眠りを妨げる要因のひとつとされています。夜のカフェより、昼のカフェデートがおすすめです
- 「眠れなくてもいい」と割り切る:眠ろうと力むほど目がさえてしまいます。横になって休むだけでも体は休まる、と考えておきましょう。「慣れない場所だと眠りが浅いんだ」と彼に一言伝えておくと、気をつかわずに済みます
持ち物全体のチェックは「外出先・旅行・お泊まり前のデリケートゾーン不安を軽くする準備リスト」にまとめています。
お泊まりポーチに入れたい「いつものケア」アイテム
寝る前のケアをお泊まり先でもいつもどおりに続けられると、「自分の夜」のペースを保ちやすくなります。デリケートゾーンのうるおいケアを習慣にしている人は、ポーチにひとつ入れておくと安心です。

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こんなときは専門家に相談を
- お泊まりのときだけでなく、自宅でも眠れない日が続いている
- 日中に強い眠気やだるさがあり、仕事や家事に影響している
- いびきや、眠っている間の呼吸の止まりを指摘された
こうした場合は、睡眠外来や心療内科などで相談してみてください。眠りの悩みを専門家に話すのは、ごく普通のことです。
よくある質問
Q. 彼の家で眠れないのは、彼に気を許していないからですか?
A. そうとは限りません。第一夜効果は、実験室のように人間関係が関係しない場所でも起こる現象です。慣れない環境に対する脳の自然な反応と考えてよいでしょう。
Q. 何回くらい泊まれば眠れるようになりますか?
A. 個人差があり、何回と言い切ることはできません。紹介した研究では、2回目の夜には左右の脳の差が見られなくなっていました。同じ部屋で過ごす回数が増えるほど、なじんでいくことが多いと考えられます。
Q. 眠れなかった翌朝はどう過ごせばいいですか?
A. 起きたらカーテンを開けて光を浴び、無理のない予定にするのがおすすめです。睡眠ガイドでも、朝から日中に太陽の光を浴びることがすすめられています。お泊まり前の身だしなみが気になる人は「VIO自己処理のやり方」も参考にしてください。
まとめ
- 慣れない場所で眠りが浅くなるのは「第一夜効果」という、多くの人に起こる現象
- 初日の夜は左脳の一部が浅く眠り、物音に反応しやすい「見張り役」になっていた
- 2回目の夜にはその差は消えており、回数を重ねるとなじんでいく可能性がある
- ふたりで寝るとレム睡眠が増えたという研究もあり、隣に人がいること自体が悪いとは限らない
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参考資料
Tamaki M, Bang JW, Watanabe T, Sasaki Y. Night Watch in One Brain Hemisphere during Sleep Associated with the First-Night Effect in Humans. Curr Biol. 2016;26(9):1190-4.
Drews HJ, Wallot S, Brysch P, et al. Bed-Sharing in Couples Is Associated With Increased and Stabilized REM Sleep and Sleep-Stage Synchronization. Front Psychiatry. 2020;11:583.
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年)









