いびきとEDの関係|睡眠時無呼吸が勃ちにくさにつながる理由と、パートナーにできること

いびきと体の不調は、つながっていることも 隣で眠る人が気づける睡眠のサイン

「彼のいびきがうるさくて眠れない。しかも、ときどき息が止まっているみたい」。そんな夜が続いているなら、それは騒音の問題だけではないかもしれません。

いびきと呼吸の停止をくり返す「睡眠時無呼吸」は、ED(勃起しにくい・維持しにくい状態)と一緒に見つかりやすいことが、多くの研究で報告されています。そして本人は、自分の眠りの質の悪さに気づきにくいのが特徴です。最初のサインを受け取れるのは、同じ部屋で眠るパートナーであることが少なくありません。

この記事でわかること

  • 睡眠時無呼吸・睡眠不足とEDについて、研究で報告されていること
  • 本人が「よく寝ている」と思い込みやすい理由
  • 彼を傷つけない伝え方と、受診を考えたいサイン

睡眠時無呼吸とは?いびきとの違い

眠っている間に空気の通り道(上気道)が狭くなり、呼吸が弱まったり止まったりする状態です。息が止まると体が酸素不足になり、脳が浅く目覚めて呼吸が戻ります。これが一晩に何度もくり返されるため、長く寝ているつもりでも深い眠りが削られていきます。

ただのいびきとの見分けのポイントは、「大きないびき → 急に静かになる → あえぐような呼吸で再開」というパターンです。日中に強い眠気がある、朝起きたときに頭が重いといった様子も手がかりになります。

EDとの関係は?研究で報告されていること

28の研究を整理した分析

米国ロチェスター大学のチームは、睡眠時無呼吸とEDの関係を扱った観察研究28本を集め、そのうちデータがそろう10本を統合して解析しました(Kellesarian et al., 2018)。睡眠時無呼吸のないグループでは、EDのオッズ(起こりやすさを示す値)が、あるグループのおよそ半分という結果でした。

ただし、これは「一緒に見られやすい」という関連の話です。睡眠時無呼吸がEDを直接引き起こすのかどうかは、長期間追いかける研究でさらに確かめる必要がある、と著者たちも述べています。

睡眠不足と男性ホルモンの実験

シカゴ大学の実験では、平均24歳の健康な男性10人が、1週間にわたり睡眠を5時間未満に制限しました。すると、日中のテストステロン(男性ホルモン)が10〜15%低くなっていました(Leproult & Van Cauter, 2011)。参加者が少ない小規模な研究ですが、睡眠時間の短さも体のコンディションと無関係ではないことを示すデータです。

睡眠時無呼吸の治療とのかかわり

睡眠時無呼吸の治療では、就寝中に鼻のマスクから空気を送り込んで気道を広げるCPAP(シーパップ)がよく使われます。26本の研究をまとめた分析では、CPAP治療後に勃起機能の評価スコアが上がったという結果が整理されています(Li et al., 2019)。ただ、効果の出方には個人差があり、治療の対象になるかどうかは検査で判断されます。

いびき・睡眠時無呼吸とEDについて研究でわかっていることと、隣で眠る人ができることをまとめた図解

本人が気づきにくいのはなぜ?

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、閉塞性睡眠時無呼吸のある人は、自分の睡眠を実際よりも長く・深く見積もりがちです。眠気にも慣れが生じるため、「疲れているだけ」と片づけてしまうこともあります。

同じガイドでは、いちばん大きな危険因子は肥満とされています。一方で、あごが小さい・後ろに下がっているといった骨格が原因になる場合もあり、やせているから安心とは言い切れません。また、閉経後は女性でも増えることが知られているので、自分自身のいびきにも目を向けておくと安心です。

パートナーにできること

  1. 「体調が心配」という言い方で切り出す。夜の悩みとして話すと、相手はプライドを傷つけられたと感じやすくなります。「寝ているとき息が止まってて、ちょっと怖かった」のように、健康を気づかう話として伝えるのがおすすめです。
  2. 様子を記録しておく。呼吸が止まっていた回数、昼間の居眠り、朝の頭痛などを数日分メモしておくと、受診したときに説明しやすくなります。いびきを録音する場合は、本人の了解をとりましょう。
  3. 生活習慣はふたりで見直す。寝酒は睡眠時無呼吸を悪くする可能性があるとされています。晩酌の量や時間、寝る時刻をそろえるなど、「彼だけに我慢させない」形にすると続けやすくなります。成人は6時間以上の睡眠がひとつの目安です。

ストレスや緊張が勃ちにくさに影響するケースについては「ストレスと勃起の意外な関係性」で、男性が自信をなくして距離をとってしまう心理は「彼が私を避ける理由は男性力に自信がないから?」で解説しています。

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受診を考えたいサインと相談先

  • 大きないびきに加えて、寝ている間に呼吸が止まる
  • 会議中や運転中など、日中に強い眠気がある
  • 朝起きたときの頭痛や、寝ても疲れがとれない感じが続く

こうした様子があるときは、睡眠外来や呼吸器内科、いびき外来で相談できます。勃ちにくさそのものが気になる場合は、泌尿器科が窓口です。EDは血管や生活習慣とも関係が深く、受診が体のほかのサインに気づくきっかけになることもあります。病院で相談するのは、恥ずかしいことではありません。

よくある質問

Q. いびきをかく人は、みんなEDになりやすいのですか?

A. いいえ。研究で関連が報告されているのは、呼吸の停止をくり返す睡眠時無呼吸です。いびきがあるだけでEDになるわけではなく、関連の強さにも個人差があります。

Q. 彼が「大丈夫」と言って受診したがりません。

A. 無理に説得するより、「あなたの体が心配」という気持ちを伝え、記録したメモや録音を一緒に見てもらうのがひとつの方法です。睡眠時無呼吸は自覚しにくいことを、厚生労働省のガイドも指摘しています。

Q. 睡眠を見直すだけで、勃ちにくさは変わりますか?

A. 変化が見られたという研究はありますが、誰にでも当てはまるとは限りません。EDには血流、ホルモン、ストレスなど複数の要因が重なることが多いため、気になる状態が続くときは医療機関で相談してください。

まとめ

睡眠時無呼吸とEDは、一緒に見つかりやすいことが研究で示されています。研究の多くは観察研究で、因果関係まではわかっていません。それでも、夜の悩みを年齢や気持ちだけのせいにせず、「眠り」という角度から見直すことはできます。隣で眠る人だからこそ気づけるサインを、責めるためではなく、ふたりの健康のために役立ててください。

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参考資料

  • Kellesarian SV, Malignaggi VR, Feng C, Javed F. “Association between obstructive sleep apnea and erectile dysfunction: a systematic review and meta-analysis.” International Journal of Impotence Research, 30(3), 129–140, 2018.
  • Leproult R, Van Cauter E. “Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men.” JAMA, 305(21), 2173–2174, 2011.
  • Li Z, Fang Z, Xing N, Zhu S, Fan Y. “The effect of CPAP and PDE5i on erectile function in men with obstructive sleep apnea and erectile dysfunction: A systematic review and meta-analysis.” Sleep Medicine Reviews, 48, 101217, 2019.
  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年公表)